【あらすじ・感想】映画『言の葉の庭』がエモい。雨に濡れる新宿御苑。

本&映画

日本には四季がありますが、雨のほぼ降らない時期ってそんなに長くはありません。

しとしとと降る雨は、日本の雅な情景を際立たせるのに重要なエッセンスといって差し支えないでしょう。

個人的には、鎌倉という街は雨がとてもよく似合うスポットだと思います。

そして、そんなスポットが東京にもありました。新宿御苑です。

今日紹介する映画作品は、

新宿御苑×雨

を描いた名作です。

監督は、『君の名は。』『天気の子』などでお馴染み、新海誠氏です。

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あらすじ

靴職人を目指す高校生タカオは、雨の降る午前中の時間帯には学校に行かないことを決めている少し変わった青年。

そんな時、彼が学校の代わりに足を運ぶのは決まって新宿御苑でした。

一方で、どうしても職場に行けない事情があり、雨の日に必ず新宿御苑を訪れ一人ビールをあおる年上の女性、ユキノ。

二人は雨の新宿御苑でたまたま出会い、次第に打ち解けていくも、ユキノは実はタカオの高校の古典教師で、退職することが決まっていました。

自分のことを開示しないユキノに対し、タカオは不満を募らせていきますが…。

内容まとめと感想−凝縮された雨の美しさ

名作ですが、46分と映画としてはかなり短い構成です。

その中で、主人公2人の葛藤が物語全体から想起させられ、具体的な言葉としてではない形で描かれます。人の心の繊細さ、何気ない風景の美しさが詰め込まれた作品です。

以降で、個人的な琴線ポイントを紹介していきます。

夢を笑われることに対して敏感な高校生の心持ち

ネタバレすみません。

タカオがユキノに対して怒りをむき出しにするシーンがあるのですが、とめどなく言葉が溢れてくる彼の様子には自分の夢の不確かさ(自分の実力に対する不安や、一般的な就職ルートではないことへの自認を含む?)を不安に思っており、それだけに誰にも伝えたくない彼の心情がありありと見て取れました。

ひたすらに靴をデザインし、それを自作するタカオは靴作りに対するこだわりがあるからこそ、それを人に笑われ自信を喪失することへの怖さが強いのでしょう。

気持ちがすごくよくわかりました。

そして、それに応じる形でユキノからも心情がほとばしります。

このシーンが、【言の葉の庭】の真骨頂だなと感じました。

洗練された良いタイトルだと感じます。

主人公2人の置かれた環境を際立たせるキャラクターの多彩さ

ユキノ(正確にはユキノ先生ですが)を退職に追いやった高校3年生の「相沢先輩」、

彼女と同棲する、タカオとは対照的な性格の兄、

良くも悪くも若すぎる彼らの母、

タカオの同級生カップルなど。

何回も登場する人々ではありませんが、2人の心境を浮き出させる役割としての貢献度が高いです。

雨に濡れる木々の美しさ

僕自身、大学の新緑の美しさに感激して写真を撮って回ったことが何回もあります。

アニメはほとんど見ないんですが、緑の持つ繊細な美しさをここまで忠実に、実物以上に描写できる技術には本当に脱帽です。

これは、見ていただくことで美しさを体感していただく他ないです。

ユキノの定番メニュー、ビールと板チョコ

雨の新宿御苑を訪れるユキノ先生ですが、彼女がよく孤独のおともにしているのは缶ビールと板チョコです。

ビールと板チョコという組み合わせはかなり珍しいので試した方は少ないのではないでしょうか。

僕は、この作品を勧めてくれた友人に、同じくこのメニューも勧められて試してみました。

意外と相性が良いのに驚きました。

板チョコとの相乗効果によって抽出されるビールの風味は、苦味ではなく酸味でした。酸味が板チョコの甘み・苦味を単体では醸し出し得ないような次元へ昇華され、未知の心地良い香りを創出することに成功しています。

ビールが嫌いでない方は、ぜひご賞味あれ。

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